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ブログたまにSS
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多分こんなのが出ると思います。
ギリギリ全年齢か、うっかり18禁か(またか

こんなのをまた80pくらい書いているそうですよ…ワタシ…
3Zの雰囲気で書きましたが(多分)、神楽が留学生としてやってきたのが3年の春という設定です。
で、春から夏の終わりくらいまでの期間もにょもにょといたします←何
抜粋した部分はまだアレですが、この先二人が付き合う理由とかがあんまりピュアではないので(…)、甘酸っぱい青春な沖神は期待しない方がいいかもしれません…
あ、でも最後はべたべたさせますけれどね!←

書いている途中で土神いいなぁとか(not恋人)思いました。。。
なんだか、私の書く文はいついかなる時も彼がうまく取りなしてくれている気がします 笑。



もう一冊の方もそのうち載せます。
そっちは本編沿いでありがちな沖田記憶喪失ネタです。

 




【タイトル未定、序盤抜粋】
 
隣に座っているだけだったのに、図らずも神楽について詳しくなっていた自分に驚く。
真剣に聞いていたわけでもない。群がってくる奴らが神楽を質問攻めにする度、窓の外をぼんやりと眺めてはうとうとと眠気と戦っていた。時折、女子が沖田に話しかけてくる事もあったが大抵を適当に流していた。
神楽に群がる女子の中には、クラスの連中だけでなく他のクラスの奴らも居た。
女子が声を掛けてくること自体は別にどうでもよかった。
今まで特別なひとりが居た事もなければ想いの向かう相手が居た事もない沖田は、〝付き合ってください〟という定例な告白を幾度となく受けても〝…どこに?〟という鈍感な答えで誤魔化してきたし、好意だけが見え見えな女に対応するのは正直面倒くさかった。
それに、たいして仲良くなってもいないのに告白されても、相手の事がわからないのだから断るしかない。付き合ってみてから考えてくれてもいい、と言われた事が何度かあったが、彼女達のほとんどは沖田に対してフィルターをかけていた。実際の彼がどういう人物か知らないうちに見た目や噂だけが独り歩きして、それが沖田であるのだと皆勘違いしていた。
抱える事情と部活でそれなりに忙しい高校生活を送っている沖田にとって、彼女を作る余裕もなければその気もなかったからだ。
そして今日も、
「ねぇねぇ、沖田君はどう思う?」
こういう風に、神楽というエサを使って話しかけてくるような輩は特に。
どう思うも何も、流し聞きなので肝心な質問の元がわからない。
「…ごめん、外見てたんで聞いてなかったでさァ」
「そうなんだー。ええとね、神楽ちゃん今一人暮らしなんだって!いいよねー」
「ねー」
沖田は確かに外を見ていたが、会話は聞いていたので本当は知っていた。
(そりゃあ、親父も兄貴も中国に居るんだから当然だろィ…)
こいつら馬鹿か、と思いながら目線を神楽に移してみる。するとばっちりと目が合った。
「わ、わわっ、」
「…何いきなり動揺してるんでィ、テメエは…」
「おっ、お前がいきなりこっち見るからダロ!」
…意味がわからなかった。
「一人暮らしなんて、そんなにいいもんじゃねぇだろ。確かに気は楽そうだけど、」
沖田の前の席に居た土方が、後ろを振り返って言った。今まで一度も話題に入ってこなかったというのに、今日はどうした風の吹きまわしだろう。沖田がそう思っていると、神楽もそう感じていたのか少し驚いていた。かれこれ一ヶ月斜め前に座っているのに、土方の声を聞いたのはなんだかんだで初めてだったのかもしれない。
「そう、ネ…結構何でも一人でやらなくちゃいけないから、面倒くさいアル」
「え~そうなんだ。でもそっか、家事とかも自分でやらなくちゃいけないんだもんね~」
「だね~」
「でもやっぱり羨ましい!いいなぁ神楽ちゃん、私も一人になりたーい」
一ヶ月が過ぎようとしているのに、神楽の周りは未だにこんな感じだ。
理由はなんとなくわかっている。でも面倒なので放っておくより他ないのだ。しばらくすれば流石に目新しい話題も無くなって来なくなるだろうと沖田は踏んでいた。
神楽はそのせいでかれこれずっと休み時間を拘束されていたのだが、まだ慣れない環境の中では拒否もできずに、ただ押し寄せられるままにそこに居た。
「…一人になったことがねェからそんなことが言えんだよ」
「え?」
ボソリと言った言葉は小さく、多分誰にも聞こえていないだろうと沖田は思う。
「何でもないでさァ、ていうかもう授業始まりますぜ?」
「あっ、ほんとだ!じゃあね神楽ちゃん!」
「あ、はいアル、」
ひらひらと手を振って行く彼女達に、神楽も丁寧に振り返す。隣のクラスの奴らもいるので、まだ幾分か猫かぶりをしている。
「毎度毎度大変だな、オメェも」
そう声を掛けたのは、沖田ではなく土方の方だった。
一ヶ月もこんなことが続いていれば流石に気になるのだろう。土方が自分から話しかけるのは結構珍しい事だった。しかも女子に対して。
「そうネ、流石に疲れちゃったヨ。…ええと、」
土方の名前がわからないのだろう。なにしろ、全員自己紹介の必要無いクラスに放り込まれて、神楽は自分から話しかけてきた女子たちや沖田くらいしかまだ名前を覚えていないのだから。それがわかったのか、土方もそういえばといった様子で名乗った。
「土方だ。土方十四郎」
「マヨネーズの神に愛されし、マヨの申し子でさァ」
すかざず付け加えた沖田を、土方が怒りの形相で見る。
「何意味のわかんねえ説明勝手に加えてるんだオメェはよおおおおおお!」
「心外ですぜィ土方さん、俺ァアンタに関する正しい情報をチャイナに与えようとしただけでさァ」
「だからそれが余計だってんだろがああああああああああああ!!」
飽きたからと言って、沖田が土方いじりを止めたわけではない。
こんなに馬鹿で素直な反応を示す、からかい甲斐のある対象をみすみすそのままにしておけるのならば、沖田にドS王子などというあだ名は付いていないのだ。
「そうだったアルか…じゃあ敬意を込めてマヨラーと呼ぶことにするアル!」
「はああああ!?ちょ、おい総悟!!手前のせいで変な呼び名が付いちまったじゃねえか!」
「良かったじゃねェですかィ、これで誰からも愛称で呼ばれない日々からの脱却でさァ。おめでとうごぜえやす土方さ…おっと間違えた。マヨラーさん?」
頬杖をついて首を傾げる姿は、彼に想いを寄せる女子ならうっとりとしそうな光景だったが、生憎それを見ているのはその笑顔に苛立ち以外を感じない土方だ。苛立つ様子を愉しんで見る為だけに敢えてお茶らけた言い方をするのは勿論わざと。
「てんめェェェェェェェエェェエエエエエ…!!」
人の血管が浮き出るという様子を、神楽は初めて見ていた。
マヨラーというあだ名を付けた張本人であるのに、どこか違う世界で起きている出来事のように沖田と土方のやり取りを眺めて笑った。まだクラスの大半の名前を覚えていないが、沖田と土方。うん、この二人はもう覚えた。
「あっははは!お前ら面白いアルな!」
神楽が笑っていた。周囲に向けていた大人しい笑みではない本気の笑顔は初めて見るもので、思わず目を奪われていた。
(…笑った)
土方をからかう事も忘れて、すっかり魅入っていた。そんな風に屈託なく笑う女を、今まで見た事がなかった。
「つーかチャイナ、お前いい加減ウザいんじゃねえの?あの連中」
あの連中?
(あぁ、休み時間の度に押し掛けてくる女の子達のことか)
直ぐに思い当たって、神楽は率直な感想を述べる事にした。
「正直ウザいアル。ていうか半分はお前のせいダロ、サディスト」
「は?俺?」
「そ。あの子たち、ほとんどお前目当てダロ?私のことなんてきっと本当はどうでもいいアル」
「なんで」
沖田は気付いていたが、神楽もそれに気付いていた事に驚いていた。
答えるのに精一杯なものとばかり思っていたのに、こちらを窺う余裕があったのか。
「お前…そんなナリで鈍感とか最悪アルな…テメーで察しろヨ」
「んなこと言われたってなァ…」
そんなもんは自分の知らない所で勝手に騒がれているだけだと言わんばかりに、沖田はうーんと唸った。右手でついていた頬杖を左手に変える。
「総悟、それ本気で言ってんなら数秒後にはこのクラスのモテない男子一同から袋叩きに遭うから素直に認めておけ」
やれやれと言った様子で沖田を眺めている土方は、彼が自分の事をまるで他人事のように捉える事にも慣れている様子だ。冷静に第三者的意見を投げかけている。けれど肝心の本人はどこ吹く風。認めることすらも面倒臭いとその顔に書いてあった。
「うるせえ死ね土方……つまり、あいつらは俺に話しかける為にわざわざ隣のクラスの留学生の所に押し掛けてきていたと?」
「多分そうアル。皆、私と喋っててもお前のことばっか見てたネ」
何も知らない神楽は、最初こそ自分に興味を持ってもらえてるのだとばかり思っていた。けれどそれが何週間も続いている事に流石に疑問を抱いたのだ。転校生だの留学生だので騒がれるのはせいぜい一週間そこそこが限度だろう。
よくよく見れば違うクラスの女子まで押し掛けてきていることにも気付いた。いくらなんでもおかしいと思い彼女達の目線を追えば、そのほとんどが隣の席のスカした男へと集中線のように辿りついたというわけ。
彼女達は私に構うふりをしながら、本当は―――。
この、沖田総悟という男。
第一印象は、そこそこ目を引く容姿だなという程度。
しかし神楽の中で、一日も経たないうちにその判断は地に堕ちた。
ギャップ萌えとか言う言葉が流行っているらしいが、沖田の場合それは当て嵌まらない。どっちかと言えば〝ギャップおえ~〟という感じだ。見た目との隔壁で吐き気がする経験なんて初めてだった。
「へェ~、」
「へェ~、じゃねーヨ、お前ずっと気付いてた癖に。私の目は誤魔化せないネ」
「あり?ばれてましたかィ?」
「…なんで皆、こんなちゃらんぽらんな奴がいいアルか…」
適当という言葉が擬人化したら、沖田総悟という人間になるのかもしれないと神楽は本気で思っていた。
『外見だけで人を判断してはいけません』
昔、誰かにそう教えられた事を神楽は思い出していた。父親だっただろうか、それとも母親にだっただろうか。記憶は遠かったが、それでもそれは本当だなと身を持って実感しているのだから間違いない。
「ちゃらんぽらんとはひでーや、一応これでも風紀委員長ですぜィ?」
「はあああああああああああああ!?嘘付けヨ!そんなの信じないアル、騙そうとしても無駄ネ」
風紀委員というだけでも信憑性に欠けると言うのに、そこに〝委員長〟という称号が付く事など信じられるものか。それはおそらく、このクラスの全員が思っている事ではあるが、しかし、
「…チャイナ娘、残念だがそりゃあ事実だ。俺も心底おかしいと思うのは山々だが、何故か三年間こいつは風紀委員で在り続けている…」
土方の疑問に満ち溢れた肯定を受け、神楽は驚きのあまり固まってしまった。
沖田はそんな神楽を見ながら、不満そうな声を上げる。
「土方さんまでそんな事言うんですかィ、ひでーや」
「…しょっちゅう授業サボってる奴の言う事とは思えねえな。いっつも思うんだがよ、手前が一番風紀乱してんーかじゃねーか!?」
「…全く持って同意見アル。既に存在が悪ネ、地球に良くないアル」
「失礼ですぜィ二人とも、仕事はちゃんとやってまさァ。……副委員長が」
「「テメーが仕事しろォォォォォォォォォオ!!」」
間髪入れず入った二人同時の正当なツッコミ。
それを受けて、両耳を押さえる沖田の顔に反省の色は見えない。
「うるっせえな、てか俺三年になってから一度も授業とかサボってねえし」
「あ?…そういやそうか?珍しいな。いっつも新学期だろうが何だろうが気付けばいつもいねえ癖に。…あぁ、心境の変化でもあったか?」
一瞬神楽に目を向けてから沖田を見た土方の行動は、どう見ても故意だった。
弱味を見つけたと言わんばかりに、目つきがいいとは言えない細い目を爛々とさせている。
「…そんなんねエでさァ。どっかのチャイナの取り巻きがいつまで経っても落ち付かねえから、抜け出すタイミング失ってるだけですぜィ」
神楽のせいでサボれないと言っているように聞こえて、神楽が反論した。
「ちょっと待てヨ、…それ私のせいじゃないアル。サボりたければ勝手にサボればいいダロ?お前がいなければあの子たちもきっと私に構いやしないし、そうしたらやっと解放されるアル、一石二鳥ネ」
「…別に、どうしてもサボりたきゃ勝手にしてらァ」
「ふーん、」
「チャイナ娘、こいつのことはほっとけ。…ここ最近は気になることがあってここから動きたくなかったんだとよ」
ニヤニヤしている土方が言いたい事はなんとなくわかっている。それでも沖田はポーカーフェイスを崩さずに涼しい顔を保つ。
「?そうアルか?」
「…なんも、ねーよ」
沖田の返答には確かに不自然な間が空いていたが、彼の興味のなさそうな顔はいつものことだったので神楽はさして気にしなかった。
「まぁ別にどうでもいいアル。でもなんか不快ネ」
「なにがだよ、」
どちらかといえば不快だったのは俺のほうだろ、と沖田は思ったが言わなかった。
「オマエ、スカしたフリして実は全部聞いてたダロ」
それは秘密を知った悪戯っ子の声音。
「……なにをだよ」
「ワタシのコト。窓の外眺めるフリして、本当は全部聞いてたんダロ?」
見透かされていたのだと知り、なんとなく後ろめたい気持ちになった沖田は、無意識に神楽から目を逸らす。
「…まぁ、な」
「『…一人になったことがねェからそんなことが言えんだよ』」
誰にも聞こえていないと思っていたひとりごと。繰り返された言葉は一字一句(たが)わない。
「………聞こえてたのかィ」
「私しか聞いてないアル、多分ネ」
聞かれていたのが別段恥ずかしいというわけではなかったが、それをしっかりと拾われていた事に驚いていた。
「…別に…間違ってねエだろィ?」
それは、沖田の本音だった。
人間は所詮ないものねだり。手元に当たり前に存在している時にはその大切さになかなか気付けない癖に、失くした途端その重要性にハッとなる。

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